
設計士をしているからこそ聞く、よくある失敗談です。
設計士にとって最も言われたくないキラーワード「思っていたのと違う」の中でも、今回は「部屋が思ったより小さい」編です。
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失敗点とは
間取りの打ち合わせ段階に入ると、平面図という図面が登場します。
部屋との繋がりや配置を寸法を用いて2次元的に表すとても便利なツールです。
お客さんとの打ち合わせだけでなく実際の工事でも用いる図面となりますので、もしかするとお客さんからすると数字や文字が細かく記載されていてよくわからないと思う人もいるかもしれません。
とはいえ、家の概要を示す図面の中では最も使われるものになります。
平面図が載っていればだいたいの家・部屋の雰囲気が分かるので、不動産のチラシにも使われていますね。
この平面図、建築関係者なら寸法で大体の空間をイメージできるのですが、お客さんのイメージとその図面が示す空間の大きさにズレが生じている可能性がよくあります。
思っていたよりも大きいのは完成した時にプラス要因となりますが、思っていたよりも小さいのはマイナス要因です。
というか、設計士からするともはや信用を失いかねない大事件です。
このズレに気づくタイミングは、棟上げ後か仕上げ工事が終わった完成間際が多いです。
棟上げ後に多いのは、実際の骨組みが出来上がり家の大きさや概要が目で見て分かるタイミングだからです。
今まで2次元で見ていたお家が、3次元になる瞬間なので感動の日でもありますが、このタイミングで変更したい要望が出ても変更がとても難しい日でもあります。
仕上げの変更なら可能なことも多いですが、間取りに関しては変更は極めて困難です。。。
柱や梁といった構造部材が組み上がってしまっており、その構造はきちんと耐震性を確保するために緻密な計算が行われています。
そのため、この柱を無くしたいと思っても、簡単にできることではないのです。
また新築の場合、構造や間取りに関しては役所に「建築確認申請」という申請をして許可をもらわなければならず、着工するまでにその申請を下ろすのが建築士の役目であり義務となります。
間取りとか自由なのになんで申請が必要なの?と思われるかもしれませんが、理由は、採光計算などに関わるからです。
採光計算は、その部屋に必要な量の光が外から入るかどうかを計算しています。
そのため、窓が全くない部屋などは居室として認められません。
(クローゼットなど、普段過ごすために使わない空間なら問題ありません。)
もし棟上げ後に間取りの変更を行うなら、そのような法律部分に引っかからないかどうか、また、資金計画的にも問題ないかどうかなど様々な項目をクリアする必要があるので、一般的には変更できないことが多いです。
また、仕上げが終わったあとに気づく場合が多いのは、棟上げで骨組みが組み上がっても柱と柱の間に壁が入ってないので、抜け感があり実際の大きさよりも広く見えてしまうことで、大きさに気づきにくいという点です。
着工するまでにどれだけ理想の家に近づけておけるかどうかがポイントです。
発生原因
原因は、設計士とお客さんのコミュニケーション不足かなと思っています。
お客さんからすると、思っていたものが建たないのは設計士が悪い!と思うでしょう。
特に注文住宅なら、要望を聞いてくれてこそお金を払う価値がある!と考えるからです。
逆に、設計士からすると土地も予算も限られているので、全ての部屋を広く作ることはできないのは当たり前だし、それくらい分かっていると思ったけど。。。
今更そんなこと言われても。。着工前に確認したじゃん。。
といった具合です。
失敗しないためには
親切な設計士なら、一つ一つの部屋の大きさを実際のスケール(メジャー)を使って示しながら間取りの打ち合わせを行ってくれるかもしれません。
しかし、そこまでしてくれる設計士は少ないかもしれません。
設計士は寸法を見ただけで空間の大きさが瞬時に分かってしまう、いわば絶対音感ならず絶対空間のようなものが染み付いているので、これくらいなら説明しなくても分かるだろうと無意識のうちに判断してしまいがちです。
もちろんこれは設計士が悪いのですが、あとから悪いと言ってもどうしようもありません。
もし、この大きさってどれくらいなんだろう?と少しでも疑問に思ったら、話を中断してでも質問するようにしましょう。
設計士も悪気があるわけではないので、しっかり教えてくれます。
また、本当に一番良いのはその会社が行う「完成見学会」や「 OB宅見学会」といったイベントに参加して、実物の家を体感することです。
あの家の寝室が6畳だったから、6畳はあれくらいか〜といった感じで、実際の体験から大きさを想像するのが一番良いです。
もし自分の依頼している建築会社のイベントが近くにない場合は、あまりおすすめしませんが、他社の見学会に行く方法があります。笑
行く際は、バレないように気をつけてくださいね。笑
最終寸法を見て大体の空間イメージがつくようになれば◎です。
頑張ってください!